肉食系赤ずきん―彼女は獲物を捉える―
「ねぇ狼さん」
「は、はいぃぃ!」
赤ずきんちゃんの瞳は獲物を狩るように鋭く、ランランと輝いています。
「おばあさんは何処?」
「ク、クローゼットの中ですぅぅ!」
(……やっぱり食べなかったのね)
食べないだろうとは考えていたけれど、もし食べていたら引き裂いてやろうと思っていたわ、と呟いた赤ずきんちゃんに狼さんは顔面蒼白です。
「ねぇ狼さん」
「は、はい!」
「私を食べたい?」
「…………へ?」
こてんと首を傾げ問い掛けてくる彼女に狼さんは驚いて間抜けな顔になりました。
「どうなの?」
カチャリと更に銃口を近付け、にこっと可愛らしく微笑む赤ずきんちゃんに彼は泣きそうになりながら大きく頷きます。
「…そう。それなら食べてもいいわよ」
「え、と…」
狼さんは困惑しました。
恐がったり今の状況のように殺されかけたことはありますが、食べてもいいだなんて言う人は今まで見たことがありません。
「あ、あの…」
「ただし」
赤ずきんちゃんは何かを言いかけた狼さんの言葉を遮り、妖艶に笑みます。
「狼さんが私を食べる前に、先に食べちゃうけどね。あぁ勿論、食べるといっても食事の方じゃないわよ?」
ふふ、と綺麗に微笑む彼女に意味を理解したのか狼さんはかぁっとまるで乙女のように顔を赤くしました。