初恋イチゴ。˚*




「忘れたいなぁ」











最後に聞こえるか聞こえないかの声で言われた言葉と共に、翠くんは手で顔元を隠す



後ろ姿でもわかる

これは泣いてるんだろうなって…






なんで私の目から次々に涙が出てくるのか分からない


でもすごく胸がギューって苦しいよ











「ごめんね結苺」





「すい…くん」











弱々しくて謝る翠くんの背中に思わず抱きついてしまう





自分ってこんなに大胆だったっけ?





でも今は、翠くんをどうにかしないと消えてしまいそうなんだもん











「ゆ…い…?」





「翠くん前に言ってたよね、気持ちが変わるのは仕方ないことだって
それは気持ちが変わらないことも仕方ないことだって事だと思うの…

だから翠くんは無理に夏恋ちゃんの存在を消さなくてもいいんだよ」











私が少しでも翠くんの支えているものを軽くしたい




少しでも役に立ちたい











「無理に忘れるんじゃなくて
その気持ち丸ごと受け止めれるようになる日がきっと来るよ

だから焦らないでゆっくり認めていけばいいんだと思うよ…」











だって好きでい続けることは悪い事じゃない



むしろとても素晴らしいと思うよ?
一途な翠くんが好きだよ





私が涙声ながらに言うと
翠くんは私のギュッと抱きしめて翠くんのお腹の辺りにある手を包み込んでくれる











「ありがとう…
そうだよね…結苺が言った通りだと思う
結苺のおかげて本当に少しだけ楽になった」











握ってくれている翠くんの手はとても優しい手つき





翠くんの優しい心そのままの手って感じだよ





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