初恋イチゴ。˚*
[翠side]
美雨と下駄箱に行くと、そこには何故か
郁己先輩…曰く、井月先輩がいた
「お〜っやっと来たな
ちょーっと片倉に用事あんだよ〜
美雨借りてくなー!」
一方的にそう言って
俺の腕に腕を絡めて連れていく
美雨が何も言わないところからすると
OKってことなのだろう
「どこ行くんですか?」
「え?体育館裏」
いつの時代の呼び出しなんだよ
とか思いつつ着いていく
体育館裏に着くと、井月先輩がぶっきらぼうに
適当に俺に向かって言う
「美雨のこと好きになったか?」
美雨のこと…かぁ
好きになってないよ残念ながら
今のこの夏の時期思い出すのは
夏恋と一緒に海に行ったこと
"私がビキニ着てくると思ったー?"
"そんなの…翠くんの前で恥ずかしいから着ないよ…♪"
"翠くん!溺れる助けてー!"
なんて言いながら笑っていたっけな
あの時は俺にだけ恥ずかしそうなはにかんだ顔を見せてくれてた…
それと同時に色濃く思い出す去年の事
テスト勉強会をしたあと
結苺と二人きりになって夏恋に未練があるって話したこと
あの時、結苺の体力の無さは本当に面白かった
って…また何考えてるんだ俺…
「好きになってないです…
ならなくちゃいけないのは分かるんですけど
どうしたらなるのか分からなくて…」
本当のことを話すと井月先輩は
ニンマリ笑う
そしてその後言われたのは
怒られると思っていた俺としては意をついた言葉だった