初恋イチゴ。˚*
「彼女なんていないよ」
そう翠くんは少しムッとして言った
じゃああの子が嘘ついたのかな?
「なんでいると思ったの?」
「いや…えっと…す、好きな人いるって言ってたから…かな?」
しどろもどろになりながらも誤魔化す
名前知らないし…なんて言ったらいいかわかんない
両想いっていってる人が居た??
それが本当だったら?
そんなの怖くて言えない…
「好きな人はいる
ちっちゃいくせに頑張ってて、優しくて人のために泣ける人」
「え…」
なにそれ
すごい褒めてる…
聞きたくない聞きたくない…
そんな優しい表情で語る翠くんなんて見たくないよ…
「そ、そんなことより!
ちゃんぽん食べにいこーぜ!せっかくの長崎だからよ!!」
私がうつむいて動けずにいると
春也くんがそう提案してくれた
「そうね〜っ♪
私はカステラ買いたいしっ♪そろそろお土産買いにいかなくちゃ!」
「だな!!
じゃあ行くぞ〜っ!」
そう言って春也くんは先頭切って歩き出す
多分、気を使ってくれたんだ…
「夏恋ちゃん、ごめんね」
隣にいる夏恋ちゃんに謝ると
夏恋ちゃんは顎に手を当てて何やら考え込む振りをする
「ん〜…じゃあ夜、ちゃんと話してね?」
「…はい…」
本当に…夏恋ちゃんも春也くんも誤魔化せない
ある意味翠くんもだけど…
それからちゃんぽんを食べたり
カステラを買ったりと
結構充実した自由行動を過ごした
その間誰もさっきの話題には触れずにいてくれた