透明な海~恋と夕焼けと~
第1章
失恋の涙
「ごめん、別れて」
その一言で。
あたしの世界の時が、止まった。
「……は?」
「好きな奴が出来たんだ」
ソイツはそのまま、フイと教室を出て行った。
あたしは1人、教室に立ちつくしているだけだった。
「バカヤロ――――――ッ!!」
砂浜に立ちながら、あたしは叫んだ。
そしてそのまま、崩れ落ちた。
「馬鹿っ…馬鹿っ…馬鹿―――…」
あたしは泣いた。
この砂浜に、全部涙が吸い込まれてしまえば良いのに。
吸い込んでしまえば、あたしは幸せになれると思うのに……。
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