透明な海~恋と夕焼けと~
二十歳のお兄さんにしては、よく片付けられた部屋だった。
というより、物が少ない気がする。
「テキトーに座ってて」
「はい……」
よくわからないのでテーブルに座る。
2つ木の椅子が置かれている。
ソファーも小さい方だろうから、1人暮らしなのだろうか?
「はい、ココアで良いかな?」
「ありがとうございます。
いただきます……」
ココアはあたしの大好きな飲み物だ。
ホットココアをゆっくり口に含んだ。
「…美味しいです」
「良かった。
…てか、どこにでも売っているようなやつなんだけどね」
あたしも家でココアを飲む。
でもこんなに、甘いココアは飲んだことがない。
…あ、甘いだけじゃない。
奥に苦味もある。
「そういえば、安心して。
僕も好意で呼んだんだから、襲ったりとかしないから」
少しだけ顔を真っ赤にして答える彼。
童貞なのかな、可愛い……。