透明な海~恋と夕焼けと~
「嫌じゃないの?」
「仁科さん、襲わないって言ったじゃないですか……」
「確かに言ったけど…。
襲うつもりもないよ。
でも、出会って間もない僕と、1日でも夜を共にするんだよ?
美音ちゃん高校生でしょ?」
「はい。
海野(うみの)高校の1年生です」
「海野?」
何故か鸚鵡(おうむ)返しに聞いてくる仁科さん。
「どうかされたんですか…?」
「いや…海野は、僕が通っていた高校なんだ」
「そうなんですか!」
「そう。
だから美音ちゃんは、僕の後輩ってことになるね」
「はい!先輩」
「アハハ、先輩なんて言われたの初めてだな」
「そうなんですか?」
「僕、帰宅部だったからねー」
「確かにそんな感じします。
仁科さんめんどくさがりそうですし」
「え!?
…しょ、初対面の子に当てられるとは。
僕、見た目からしてめんどくさがりっぽい?」
「はい」
そのくるくるの髪が!
って言ったら、怒っちゃうかもしれないから、言わないでおこうっと。
仁科さんは可愛くはにかみながら、くるくるの髪の毛をいじっていた。
天パなんだろうけど…気にしているんだろうな。