透明な海~恋と夕焼けと~
夜。
あたしは本当に仁科さんの家に泊めてもらえることになった。
仁科さんは聞いたところ1人暮らしのようなので、ゆっくりしてほしいと言われた。
「悪いですよ!
あたし床で寝ます!!」
「良いよソファー使って!」
あたしと仁科さんは、寝る場所に関して喧嘩をしていた。
…本当、年上だと思えない……。
仁科さんはいつも、ベッドで寝ていないそうだ。
何でも仁科さん曰く「ベッドの上が物置で…」だそうだ。
そのためいつも、ソファーの上で寝ているみたいだ。
仁科さんはあたしにベッドを薦める。
でもあたしはあくまで客人なわけだし。
あたしが床で寝ます!と言っているのに、仁科さんは可愛らしい見た目に反して頑固で。
あたしを無理矢理にでもソファーで寝かせようとする。
「…はぁーラチが明かないな」
「どうします?」
「美音ちゃん頑固だねー。
素直にソファーで寝れば良いものを」
「そう言う仁科さんも頑固ですよね。
信じられないですよ」
仁科さんとあたしは、同時に「うーん」と考える。