透明な海~恋と夕焼けと~
そういえば、仁科さんは一体何をしている人なのだろうか?
かっこよくてスタイルが良い人が出来る仕事…?
何かあるだろうか?
「お待たせ~」
仁科さんは布団を前が見えないほど大量に持ってきていた。
前が見えなくて足元がおぼつかないのか、仁科さんはフラフラしていた。
「大丈夫ですか!」
あたしは駆け寄り、スッと布団を受け取った。
ふっと仁科さんの整った顔立ちが見えて、思わず顔を逸らした。
仁科さんってかっこいいけど…。
何で寂しげな瞳をしているんだろうか?
もしかして仁科さんも、何かあったのかな……。
「美音ちゃん?」
「あ、何でもないです」
「そう?
そうだ、美音ちゃんお風呂まだだったよね?
入ってきなよ」
「ありがとうございます」
「使い方教えるよ、おいで」
ニコッと目を細めて笑った仁科さん。
気になるけど。
仁科さんが何故あんなに哀しげな瞳を持っているのか。
でも、あたしと仁科さんは出会うはずのなかった関係。
だから、むやみに聞いてはいけない。
明日になれば、別れてしまうのだから……。