透明な海~恋と夕焼けと~
そういえば美音ちゃん、何で泣いていたんだろう?
ふとそんな疑問がわいた。
駄目だ、聞いてはいけない。
だって、美音ちゃんには美音ちゃんの世界がある。
僕のような人が踏み込んではいけない、明るい世界が。
美音ちゃんをこれ以上、僕の色に染めてはいけない。
美音って名前のように、これからも美しい音を聞いてほしい。
「…はぁ、僕って最低」
優しい年上男子気取りか?
…はー、考えるだけで呆れてしまうよ。
「あー
死にたい」
僕の呟きは、そのまま空気と化し、
消えた。