透明な海~恋と夕焼けと~
学校へ続く道がいつもと違い、不思議な感じがした。
いつもは住宅街を通るのだが、今日は海沿いを歩いた。
そこで、あたしが昨日仁科さんに会った場所を見つけた。
…1日だけの、出会いだったのに。
何でこんなにも、仁科さんが気になってしまうのだろうか?
年の差のある、仁科さんに……。
「おはよー折坂さん」
「お、おはよう…」
あたしに唯一と言って良いほど話しかけてくれる子。
浅居深雪(あさい・みゆき)さん。
同じ美術部で、同じクラスで…。
…それだけしか関わりがないのに、色々話しかけてくれる。
「深雪っ!」
…聞き逃すわけ、なかった。
だってその声は…
私が、
好きだった人の、声だから。