透明な海~恋と夕焼けと~







お弁当の時間。

あたしは移動もせず、ただ1人でご飯を食べた。



仁科さんが、作ってくれたお弁当。

透明なタッパーに美味しそうなお弁当を詰めてくれて。

タッパーは食べ終わったら捨てて良いと言われたけど。

あたしは取っておくつもりだ。




中身は日の丸弁当に、丁寧に作られたおかずたち。

ご飯は手抜き?と疑ったけど、おかずは全く手抜きじゃない。

仁科さんって、本当に家庭的。

あたしも仁科さんに負けないよう、頑張らないと。






「折坂さん」

「あ、浅居さん?」



前の空いている席に、浅居さんが座った。

そしてあたしのお弁当箱を覗きこんだ。




「うわー!美味しそう!!
折坂さんが作ったの?」

「ううん」




あたしはこんなもの作れない。

ここまであたしは器用じゃない。




「お母さんかな?
お母さん料理上手いんだねー」



…確かにお母さん料理上手いけど。

今日のはお母さんじゃない。

まぁでも仁科さんに作ってもらっただなんて言えない。

だから、頷くことにした。








< 27 / 92 >

この作品をシェア

pagetop