透明な海~恋と夕焼けと~
お弁当の時間。
あたしは移動もせず、ただ1人でご飯を食べた。
仁科さんが、作ってくれたお弁当。
透明なタッパーに美味しそうなお弁当を詰めてくれて。
タッパーは食べ終わったら捨てて良いと言われたけど。
あたしは取っておくつもりだ。
中身は日の丸弁当に、丁寧に作られたおかずたち。
ご飯は手抜き?と疑ったけど、おかずは全く手抜きじゃない。
仁科さんって、本当に家庭的。
あたしも仁科さんに負けないよう、頑張らないと。
「折坂さん」
「あ、浅居さん?」
前の空いている席に、浅居さんが座った。
そしてあたしのお弁当箱を覗きこんだ。
「うわー!美味しそう!!
折坂さんが作ったの?」
「ううん」
あたしはこんなもの作れない。
ここまであたしは器用じゃない。
「お母さんかな?
お母さん料理上手いんだねー」
…確かにお母さん料理上手いけど。
今日のはお母さんじゃない。
まぁでも仁科さんに作ってもらっただなんて言えない。
だから、頷くことにした。