透明な海~恋と夕焼けと~







止まらない涙は、もうすぐやってくる梅雨の雨のように、止まることを知らずに流れていく。

ハンカチやティッシュを持ってくるのを忘れていたため、手で涙を拭うしかない。




基樹…何で、基樹……。

あたしの何が駄目だった?




あたしは基樹が初恋だった。

だからぎこちない部分があったのかもしれない。

でも、あたしは精一杯頑張ったんだ。

これ以上ないってぐらい、頑張ったんだ。

人気者で女の子の扱いになれている基樹に釣り合うように。




頑張ったのに。

自分でも驚くほど頑張ったのに。

…あたしの、何が駄目だった?





基樹。

わからないまま別れないでほしかった。

わからないんだからあたし、次の恋に踏み出せない。

愛し方が合っているのかさえもわからないんだから。




基樹。

基樹。

基樹……。




頭の中、基樹で埋まっているよ。

基樹しか、愛せないよ……。






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