透明な海~恋と夕焼けと~
「基樹にも聞いてみるけどさー。
折坂さんも、部活に戻ってきなよ!
私、折坂さんが描く絵、好きなんだから!」
そう言うと、浅居さんは教室を出て行った。
浅居さんは、部内1絵が上手い女子だ。
ちなみに男子は、基樹。
2人とも絵が上手くて、賞を総ナメにしていた。
確かに2人は、絵が凄く上手い。
浅居さんは人物画が得意。
本人と思うほど、写真のように描いてしまう。
一方の基樹は、風景画が得意。
写真のように、綺麗な色合いだった。
何よりも、絵を描くのが好きだった基樹。
何で部活を辞めてしまったのだろうか?
もしかして。
あたしも知らない、基樹の秘密があるの?
基樹はあたしに知られたくないから、別れたの?
何で別れるなんて言いだしたのよ…。
あたしはどんな基樹も好きでいる自信があったのに。
廊下であの日のようにバスケットボールで遊ぶ基樹を見て、あたしは泣きそうになって、頑張って涙をこらえた。