透明な海~恋と夕焼けと~
再会
放課後。
あたしは再び、海へ遊びに来ていた。
あたしの家とは正反対の位置にある、海。
だけど何かあった時、あたしはよく来ていた。
お母さんもそれを知っているから、あまりとやかく言わない。
お母さんは放任主義と言うらしい。
昨日のどしゃ降りの雨が嘘のように、海は綺麗に澄み渡っていた。
綺麗な宝石のような、青色に輝く海。
ふと、昨日仁科さんから借りたハンカチを思いだした。
仁科さんは、海のような人だ。
海のように大きくて優しいけど、どこか透明で。
どこか切なくて、哀しい。
仁科さんは、そんな雰囲気の人だ。
あたし、男好きに思われたりするのかな?
学校に行けば、基樹基樹。
ふとした瞬間には、仁科さん仁科さん。
別に2人とも、深い関係じゃないのに。
でも2人とも、あたしにとっては特別な存在だから。
影のように生きていたあたしに優しくしてくれた、基樹。
泣いていたあたしに手を差し伸べてくれた、仁科さん。
優しい2人に、あたしは心から感謝している。
あたし、
2人に出会えて良かった――――……。