透明な海~恋と夕焼けと~
あたしは思い切り海の匂いを吸い込み、砂浜に座った。
サラサラの砂が綺麗な砂浜。
どこまでも広がっていて、羨ましく思えた。
「…お腹空いたー」
海の匂いを嗅いでいたら、思わず出た言葉。
自分で自分の言葉に赤面してしまう。
こんな時に「お腹空いたー」なんて。
本当…
「「緊張感がないにもほどがある」」
…え?
思わず辺りを見渡すけど、誰もいない。
もしや。
そう思って顔を思い切り空の方向へ向けると。
「仁科さん……」
「お久しぶりです、美音ちゃん」
太陽のような笑みを持つ、彼に出会った。