透明な海~恋と夕焼けと~
「あたしも出します!」
「気にしないで。
美音ちゃんは好きなだけ買い物して?」
丸め込まれるようにして、再び離れていた手を繋がれる。
すぐにあたたかいものが、あたしの中に広がった。
「これだけで良いの?」
「はい。十分です」
肉じゃがに必要な材料だけを買い、あたしは言った。
仁科さんは笑って、ポケットからお財布を出した。
「1250円です」
レジのお姉さんに言われ、お財布を出したくなる気持ちを抑え、あたしは仁科さんを見た。
すると仁科さんはあたしを見て笑うと、お財布の中から“あるもの”を取り出した。
「……え?」
「これでお願いします」
仁科さんが出したもの。
それは、
カードだった。