透明な海~恋と夕焼けと~
レジのお姉さんはそれでお会計を終え、「ありがとうございました」と言った。
仁科さんは品物の入ったカゴを持ち、スタスタ行ってしまった。
あたしは急いで追いかけ、品物を袋に詰めていく仁科さんの隣に並んだ。
「仁科さん……」
「ん?」
「何ですか…さっきのは……」
少し考えるような仕草をした仁科さんは、何も言わず素早く袋に詰め持つと、あたしの手を握ったままスーパーを出た。
「仁科さんっ……?」
スーパーの外へ出ると、仁科さんは笑った。
「少しわかったでしょ?僕のこと」
イタズラっ子みたいな笑顔を見せられてもですね…。
「仁科さんってお金持ちなんですか!?」
「んー…。
僕、と言うか親がお金持ちなんじゃない?」
「ご両親が……?」
「うん。
僕の親、財閥の社長しているから」
財閥!?
でも仁科財閥なんて聞いたことないですよ?