透明な海~恋と夕焼けと~








レジのお姉さんはそれでお会計を終え、「ありがとうございました」と言った。

仁科さんは品物の入ったカゴを持ち、スタスタ行ってしまった。

あたしは急いで追いかけ、品物を袋に詰めていく仁科さんの隣に並んだ。




「仁科さん……」

「ん?」

「何ですか…さっきのは……」




少し考えるような仕草をした仁科さんは、何も言わず素早く袋に詰め持つと、あたしの手を握ったままスーパーを出た。




「仁科さんっ……?」




スーパーの外へ出ると、仁科さんは笑った。





「少しわかったでしょ?僕のこと」




イタズラっ子みたいな笑顔を見せられてもですね…。




「仁科さんってお金持ちなんですか!?」

「んー…。
僕、と言うか親がお金持ちなんじゃない?」

「ご両親が……?」

「うん。
僕の親、財閥の社長しているから」




財閥!?

でも仁科財閥なんて聞いたことないですよ?







< 43 / 92 >

この作品をシェア

pagetop