透明な海~恋と夕焼けと~
海の色
学校を出たあたしは、仁科さんのマンションへ向かっていた。
その途中、あの人に会った。
「……ッ!?」
「美音……」
砂浜の上、基樹が座っていた。
「久しぶり。
どうしたんだ、そんなに慌てて」
「基樹ッ!」
あたしは砂浜へ続く階段を下りて、基樹の元へ行った。
「仁科季さん…知っているわよね!?」
「はっ……?
何で…何で、美音が兄貴を知っているんだよ……」
基樹の言葉に、あたしは疑問を抱いた。
「兄貴……?」
「仁科季だろ…?
その人は、俺の兄貴だよ…。
まぁ、血は繋がっていないけどな」
仁科さんと基樹が、兄弟……!?
信じられなかった関係に、あたしは何も言えなかった。