透明な海~恋と夕焼けと~
ふわっ………
そんな効果音がつきそうなくらい、優しくあたしを抱きしめる彼。
あたしが涙で真っ赤になった顔を、ゆっくりと上げた。
「み……季………」
「美音」
あたしを見て笑った彼は、ぎゅっとあたしを抱きしめた。
あたしは涙でぐしゃぐしゃの顔をしていた。
「涙で、季…濡れちゃうよ……?」
「美音の涙なら良い」
震える手で、精一杯あたしを抱きしめる季。
あたしも精一杯抱きしめ返した。
「……僕で、良いの?」
「良いに決まっているじゃない…。
季にしか、こんなに泣けないよ……」
あたしたちは、お互いの存在を確かめるかのように、強く抱きしめあった。
もう2度と、間違った道へは進みたくないから。
もう2度と、離れたくないから。