透明な海~恋と夕焼けと~
「友達なんていません」
「じゃあ彼氏の家は?」
彼氏、と言う言葉を聞いた瞬間、あたしの目から止まったはずの涙が溢れだした。
突然泣き始めたあたしに向かい、彼は驚いたように声をかけた。
「じゃあ君どこに行くの?」
「…行くところないです……」
お財布を持ってきていないから、どこかお店に入ることも出来ない。
どうしよう……。
「……僕の家来る?…って可笑しいか」
彼の思いもよらない誘いに、思わず顔を上げた。
「てか僕、君のこと何も知らないくせに呼べないよね。
しかも君、高校生でしょ?」
「そうですけど…」
「僕は生憎年下に手を出す趣味なんてないからな…」
「年上なんですか?」
「僕かい?
僕は二十歳だよ」
二十歳…。
あたしが高1の15歳だから。
丁度5歳年上だ。