透明な海~恋と夕焼けと~
「僕、色が見えないんだ」
え?
「色が…見えない?」
「うん。
元々正常だったんだけど、事故に合って……」
事故。
基樹を庇っての事故だ…。
「目覚めたら、色がなくなっていた。
全部、白黒の状態だった……」
色づいていた世界が、白黒になった。
普通の人でも辛いと思うのに……。
季は、
絵を描いていたんだ……。
「もし…。
もし、美音が僕のことを聞きたいと思うのなら、僕は教える。
……聞く?」
あたしの答えは、決まっている。
「あたしは、季の全てを受け止めるよ……」