透明な海~恋と夕焼けと~
僕は再び、夜出歩くことが多くなった。
意味もなく、時には裸足で、夜の街をふらついた。
何度も警察に補導され、家へ連れ戻された。
いまだ精神安定剤が手放せないのも、それが原因。
とある日。
僕は病院へ向かっていた。
色の消えた海なんて見たくなかったけど。
近道だから、と言う理由で僕は歩いていた。
もう…どうでも良い。
全て、壊れてしまえば良い。
全て、狂ってしまえば良い。
「バカヤロ……」
「バカヤロ――――――ッ!!」
…え?
僕の言葉を消した、大きな声。
僕は病院へ続く道を外れ、海辺へ向かった。
そこに、いたのだ。
しゃがみ込んで泣いている、僕の途中退学した学校の制服を着た女の子。
思わず、声をかけていた。
そして何故か、
僕は、彼女に恋をしたんだ。