透明な海~恋と夕焼けと~
あたしを振ったワケ
☆美音side☆
話しながら、季は泣いていた。
涙を手で拭うこともせず、涙は砂に吸い込まれていった。
「季……」
「僕、美音に会えて、幸せだよ」
「え?」
涙の流れ落ちる瞳を細め、季は笑った。
「美音だけは、基樹に奪われなかった。
正直僕、美音が基樹の元に戻ったら、本気で死ぬつもりだった」
「えっ!?」
「冗談じゃない。僕は本気だよ。
美音がいなかったら、僕はこの世に未練なんてなかったから」
そう語る季の目は、本気だ。
嘘じゃない。
「美音に会えたから、僕は今、ここにいるんだ。
僕は、美音に会うために生まれてきたんだと、実感できるよ」
季……。
あたしは恥ずかしくなって、思わず逸らした。
「こっち向いて、美音」