透明な海~恋と夕焼けと~
そう言われたから、あたしは真っ赤な顔を、季へ向けた。
「あたしも、季に会えて…本当、幸せだよ……」
「……本当?」
「当たり前じゃない…。
季が本気で好きじゃなかったら、あたしはあんなに泣かないもん」
「ありがとう美音。
僕なんかのために泣いてくれて……」
「僕なんか、なんて言わないで。
季のために、あたしは泣いたんだよ。
そうやって自分を下げる言い方はしないで」
「ご、ごめん……」
あたしは季に抱きついた。
「ねぇ、季」
「何?」
「季は、色が見えないんでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、あたしが色を教えてあげる」
「え?」
「あたしが、季の目になる!」
1回あたしを離し、季はあたしを見つめた。
そして、一筋の涙をこぼした。
涙を隠すように、季はまたあたしを抱きしめた。
「ありがとう……美音。
僕…生きていて、良かった……!」