透明な海~恋と夕焼けと~
「当たり前だろ。
僕が絶対、美音を幸せにしてみせる。
僕以外の男は嫌だって、美音に言わせてみせる」
「……よろしくな、兄貴」
季は基樹を下ろした。
基樹はあたしを見て、笑った。
「じゃーな、美音。
何かあったら、俺の所来いよ」
あたしは笑い返した。
「ありがとう基樹。
あたし、基樹と付き合えて幸せだった。
でも今はあたし、季が大好きなの。
何かあっても、季以外の所には行けない。
季以外の男は嫌だもん。
季のこと、あたしは一生愛してみせる」
基樹は笑った。
「さすが、俺が好きになった女だぜ」
そう言って笑った基樹の目には、輝くものがあった。
でもあたしは会えて何も言わず、海から離れて行く基樹を見送った。
ありがとう基樹。
基樹のお蔭で、あたしは季に会えたんだ。
季と会わせてくれて、ありがとう―――……。