透明な海~恋と夕焼けと~
あたしを見て笑った季の笑顔から、
寂しさも、
哀しさも、
切なさも、
全部、消えていた――――――……。
「あたし、季のために生きられている?」
「うん。
美音は僕の生きる希望だよ」
「――――季ッ!!」
あたしは抱きついた。
季は優しく、あたしを包み込んでくれた。
「あたし、ずっと季の傍にいたい」
「僕も」
「ずっと季の傍で泣いていたい」
「うん」
「そして思い切り、季と笑いたい!」
「泣いた分だけ、笑顔になれるんだもんね」
「幸せにもなれるよ。
季といるだけで、あたしは何もいらないし、幸せだって思えるんだよ」
あたしたちは、キスを交わした。
お互い初めて同士の、慣れていないキス。
何があっても、あたしは季といたい。
季と泣いて、
季と笑って、
季と幸せになりたい。
【END】