死んだなら【短編】
「あぁ」
「どうして…? 私、死んでるんだよ」
「そういうやつを見守る仕事をしているからな」
銀に近い長い髪に、上下白い服を着ている。
そういう…仕事?
彼は、白い肌で、背が高くて
鼻が高くて、切れ目の、綺麗に整った顔をしている。
「死んだやつは、1日だけ、この世界の死後をみることができる」
彼は、伏し目がちに私を見ると
私の肩に手を置いた。
私に、触れられるんだ…。
私と、話せるんだ…。
私が、見えるんだ…。
「どうして、そんなことするの?」
1日だけ、死後を見ても、ただ苦しいだけ。
「死んだってことから、目を逸らさないように」