こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
次の日、なぜか朝からいつもたむろしている借金取りの男たちがいません。
「ねぇ、誰もいないよ?」
「そうね。じゃあお外で遊んでらっしゃい」
「やったぁ!!」
私は勢いよく外に飛び出していきました。
やはり自分の予想は正しかったのだと、もう怯える生活は終わり、今日からは普通の日常が待っているのだと幼い私は信じて疑いませんでした。
そんな無垢な私が異変に気付いたのは遊び始めてしばらく経った頃。
なにかおかしい。
それは虫の知らせとでもいうのでしょうか。
子供特有の勘なのかとにかく物凄く悪い予感がして胸騒ぎがしてきました。
私は急いで家に飛んで帰りました。
「パパ~?ママ~?」
よたよたと覚束ない足取りでリビングに入るとまず目に入ったのは天井から吊り下げられたロープ。
「パ、パ…?マ、マ…?」
そしてそこから首を吊っている両親の姿でした。
なにがなんだか分かんなくて涙さえも出てきません。
なぜ両親が浮いているのか、なぜ自分をおいて消えたのかさっぱり分からず、ただただ変わり果てた両親を眺めているだけでした。