こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
しかし、いくら待てども待てども家族は帰って来ない。
次第にお腹が空き、さすがに寂しくなってきた。
もうとっくの昔に日は暮れ、台所を漁るも底を尽き。
真っ暗なリビングに蹲り、早く帰って来てくれることを祈るしかなかった。
「ママー、お腹空いたよ…。パパー、早く帰って来てよ…。玲奈ー、寂しいよ…、遊ぼうよ…」
どんなに願っても、祈っても、帰って来てくれることはなくて。
“捨てられた”
その事実を受け止めるにはあまりにも幼な過ぎて。
現実と向き合いたくなくて。
何日も何日も待った。
もう帰って来てくれることはないとわかっていたはずなのに。
頭では理解出来ていたはずなのに。
心では追い付かなくて。
目の前の現実と向き合うほどの勇気は持ち合わせてなかった。