こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから



事件はななの十歳の誕生日に起こった。

その日は皆お祝いムードで浮かれ気分だった。

九歳の時に族入りしてから1年が過ぎ、私とななは幹部に昇格していた。

幼馴染み3人の中で唯一族に入らなかった仁はななの誕生日だということで特別に招待されていた。

仁から用事が終わってから終倉庫に向かうと連絡が入って私達は幹部室で待っていた。

…あの日迎えに行けばよかったんだ。

そしたらあんなことにはならなかったのに…と今でも後悔している。

皆でわいわいどんちゃん騒ぎしているときにななの携帯に一本の電話が入った。


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