こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから




「はい、もしもし?仁?今どこにいるの?」

『――――――――』

「……誰」

ななの低い声に皆が静かになった。

「……仁はどこ。…は?ちょっ…!」

電話が切れるとななはどしゃ降りの雨の中、血相変えて外に飛び出した。

私達は何がなんだか分からないまま、ただただななを追って気がついたら見知らぬ町に来ていた。

「───!!」

「────」

人の話し声が聞こえ、私達が駆け付けたときにはもう手遅れだった。

雨の中、仁を抱き締め何かを呟いているななと身体中痣だらけで見るも無惨な姿に成り果てた仁。

そして狂ったように高笑いをしている男。

現場は阿鼻叫喚の地獄絵図で何がなんだかさっぱり分からなかった。


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