こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから



それでも俺は耐えてきたんだ。

どんなことがあっても。

相変わらず親父は酒を飲み俺に暴力を振るったが、俺はなんの反論もせずに黙って耐えてきた。

家事、洗濯、料理、その他諸々全て俺がやってたからお陰様で家事は得意分野に。

母さんや妹とは連絡がつかなくて音信不通だったけど、いつか再会できる日を夢見て頑張ってきた。

どんな理不尽なことでもじっと我慢して極力争い事は控えてきた。

そのせいか、だんだんと無口になっていった。

けれどもそんな日々に終止符を打つ日がやってくる。

事の始まりは、そう、10歳の夏だった。





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