こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから





その日から夜は町に繰り出しケンカに明け暮れるようになる。

元々あんまり家に寄り付かなかったがさらに回数が減った。

人を殴るあの感覚がどうしても忘れられず夢中で殴った。

たぶん家庭でのストレスによるものだと思う。

肉が潰れるふにっとした感覚、骨が砕かれるバギッという音。

もう堪らなかった。

このころから俺は狂ってたんだ。

親父はいつもこんな感じで殴ってたんだ。

今になって親父のことがほんの少しだけわかってきてそれが堪らなく嫌だった。

それを発散するかのように毎日殴った。

そうしているうちに自分流の戦い方があることを知って、自分なりの戦いやすい方法を編み出していった。





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