こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
「お前、帰るところない?」
「………」
最初は無視していたがじーと見つめられ、その眼力に負けた。
「……そうだよ。悪いか」
「住むところだったらあるよ」
俺は勢いよく見上げた。
しかしすぐに、いやいやだめだと思い直し、うつむいた。
こんな奴に借りを作ろうものなら見返りになにを言われるかわかったものではない。
無理難題を言い付けてくるに違いない。
もしかしたら、それ以上のことも………。
「寝るところも住むところも提供してやる。家賃なし。というか、金なんて要らない。荷物さえ持ってくればいい。全て完備だ」
「本当か!?」
…なんて俺はバカなんだ。