こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから



初めては香水臭くて化粧臭いケバい女数名。

ホテルで漸く解放されたとき、俺は『ああ、俺の帰る場所はないんだな』と冷静に悟った。

その日から俺のホテル暮らしは始まった。

一日で数え切れないくらいの女と寝て、その金で生活した。

金がなくなったら繁華街をただ歩く。

俺が何もしなくてもわらわらと女は寄ってきて自分達から誘う。

それを断らずそのままホテルに連れ込んで抱く。

そんな生活を続けるうち、俺は次第に自分を偽るようになった。

優しいふりして近づけば堕ちない女はいない。

俺は女を軽蔑してる。

甘いセリフを吐けば簡単に自ら股を開ける女に。

いつしか、そういう生活に慣れ、当たり前になっていた。


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