こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
昔から動物や虫を殺したり潰したりするのが大好きだった。
時には幼馴染同士で遊んだりなんかして。
俺達の周りには似ているような奴らばかりだったから。
そんなある日、空がこんなことを言った。
『人間の血が見たい……』
確かに。
動物の血や近くにいた奴らを傷付けたことはあるけど、満足いくまで血を眺めたことはない。
いつも途中で邪魔が入るんだ。
まぁ、動物の死骸を見つけてもそれが俺達がやったとは誰も想像つかないように裏工作はばっちりしてたけど。
でもいるじゃないか。俺達の身近に都合のいい人間が。
今更家族の愛だの血の繋がりだのとほざかないでくれよ。散々俺達を甚振っていたクセに。
俺達にそんなモノ通用しない。
だってすっきりしたんだ。
今まで抑制していた能力が開花し、解放されたかのように。
空だって人殺しがしっくり来たようで楽しそうにザクザクと刺している。
俺達の目の前には最早原型を留めていない“モノ”が転がっていた。