こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから




「ただいまぁー」

家に帰ると慌ただしく動き回ってる両親の姿。

「なにしてるの?」

旅行カバンに荷物を詰め込んでるママとパパに聞くと振り返って安心したように言った。

「え?ああ、今から旅行に行くのよ」

「え!?ほんと!?やったぁ!!」

なんにも知らない私は、ただ純粋に喜んだ。

「学校は?」

「しばらくお休みするわ」

「ねぇどこに行くの?」

「内緒。なるべく遠くがいいわねぇ」

「ディズニーランドがいい!!」

「ついてからのお楽しみよ」

「おい、早く車に乗れ」

慌ただしく車に乗り込む両親に続き私も乗るとふと疑問に思う。

「お姉ちゃんは?」

「お姉ちゃんは後から来るわ」

「ふぅ~ん」

このときの私は信じて疑わなかった。

お姉ちゃんと生き別れになるなんて、思いもしなかった。







…お姉ちゃん、ごめんね…。




< 51 / 52 >

この作品をシェア

pagetop