こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
ついた先はなんの変鉄もないただの森。
「…なにここ」
鬱蒼と繁った木々の間を縫うように道なき道を車は揺れながら走る。
でこぼこ道で頭を至るところにぶつけながら私はげんなりとした顔で言った。
楽しい遊園地かなにかだと思ってたのに、なんじゃこりゃ。
「ねぇー、どこ行くのー?」
「ん?ついてからのお楽しみよ」
ママはそれしか言わない。
ていうか。
「森しかないじゃん」
どこまで行っても景色は変わることなく、森のまま。
「楽しいところ?」
「ええ。きっとね」
本当にこの先に待ち受けるのは楽しいことなのか。
信じられなかった。
パパはなにかから必死で逃げるように猛スピードで走り抜ける。
「うう…」
あまりの運転の荒らさに私は乗り物酔いになり、後部座席でふてくされていた。
そしていつの間にか私は眠っていた。