こうするしか生きていく術(すべ)がなかったから
それからの生活はそれはもう酷いモノだった。
世界中の紛争地帯を巡り、戦争に投入された。
時には敵が犇めく中、重要な任務だとかでろくな装備も無しにミサイル片手に一人で置き去りにされることもあった。
飛び交う銃弾、行き交う怒声。
味方なんてどこにも居ない。自分以外は敵ばっか。
『化け物』
何度罵声を浴びただろう。何度蔑まれてきただろう。
地雷地帯を率先して歩かされ、丸腰で仲間の為に捕虜にされ。
食べるものもろくに与えられない中、誰よりも動かされた。
最早人間としては見られず兵器扱い。
『殺人兵器に人権は存在しない』
何度この言葉を聞いてきたことか。
デルタフォースでもグリーンベレーでも第75レンジャー連隊でも果てはPMSCs(民間軍事会社)でさえも。
どこに行っても扱いは変わらなかった。
『この化け物が!』
『お前は兵器なんだからただ黙って俺達の言いなりになっていればいいんだ』
……もう何もかもがどうでも良かった。
俺は言われた通り殺せばそれでいい。
それしか俺の存在理由は無いのだから。
殺すことでしか俺の意義は表明出来ないのだから。