これは絶対に恋じゃない
「矢倉と同じK大1年の、広瀬拓海です。よろしくね」
続いて自己紹介をしたのは、先ほど私に声をかけてくれた彼。
「…なんか広瀬くんってかっこよくない?優しそうだしさ」
「わかる、めっちゃいい感じだよね!」
隣で友達たちがキャッキャッと、話す会話が聞こえてきた。
私も、ちらりと目の前に座る広瀬くんを盗み見る。
確かに、他の軽い雰囲気の男の子たちとは違ってずいぶん、大人びて見えるし…皆が騒ぐのもわかる…かも。
「ねぇ。凜ちゃんは、どういうタイプが好きなの?」
「…え」
突然。話しかけられて、私は声のする方に視線をうつした。
「…あー…えっと…?」
「オレ、片岡章二。よろしくね。K大の1年だよ」