これは絶対に恋じゃない


車がゆっくり、動き始める。


「いやぁ、それにしても、三枝ちゃんとは中学以来会ってなかったから、懐かしいなぁー…あ、後で加恵からLINE聞いといていい?」


器用に運転しつつ、ミラー越しに御池くんは私に話しかけてくれる。

「うん、大丈夫だよ」


「やった!ありがと!」


心の底から嬉しそうに御池くんは、声をあげた。


…本当に昔から変わらないなぁ。


なんだかんだ、優しいんだよね、御池くんは。


屋上でも、私のことを心配してくれてたし…。


思い出すと、心が少しあたたかくなる。


「そういえば、三枝ちゃんは、今、何してるの?」


「えっと、高校からそのまま、桜丘の大学に進んだよ」





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