これは絶対に恋じゃない
…あれ?なんか、悠希機嫌悪い?
さっきまでのしおらしかった様子とは打って変わって、広瀬くんの言葉に少し不機嫌そうに答える悠希。
「そうなんだ。偶然だね。あ…えと、2人は待ち合わせしてたの??」
「あぁ。待ち合わせってわけじゃないけど…オレたち、だいたい講義の時間帯被ってるからさ。よく、一緒の電車になるんだよ。凛ちゃんこそ、もしかしていつも電車だったの?初めて会うよね」
「ううん。私は、いつもバスなの、今日はたまたま電車にしようと思って…」
『次は、桜丘大学前』
私がそう言ったのとほぼ同時に車内アナウンスが流れた。
「凛ちゃん、次だよね?」
「うん、降りないと」
バッグに入れていたスマホを取り出し、時間を確認する。