これは絶対に恋じゃない



時刻は、講義が始まるちょうど15分前。


駅から大学までは5、6分なのでちょうど良い時間帯だ。


結局、広瀬くんが来てから悠希との話がうやむやになってしまったのは心残りだけど、今、広瀬くんの前で話せるないような内容じゃないし…。

ちらりと、悠希の様子を伺うと、スマホの画面に集中していて私の方なんか見ていない。



「えっと…じゃあ、またね」


と、ぎこちなく悠希と広瀬くんに挨拶をして、降りる側のドアに向かおうと足を進める私の腕を誰かがギュッと掴んだ。


突然のことに驚いて振り返った瞬間、


「…凛、連絡して?」


と、そう一言だけ呟いて私の手に一枚の紙を握らせたのは…


悠希だった。


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