これは絶対に恋じゃない


悠希を軽く睨みつつ、


「はい、そこに置いといてください」


と、店員さんに促すと、ホッとしたような表情でグラスをテーブルの上に置いた。


そして、


「失礼致します。ごゆっくり」


と、言い残し、足早に私たちの席を後にする。



店員さんの姿がホールに消えたのを確認して私は、


「…悠希、いつまで笑ってんの。アイスコーヒーきたんだけど」


未だに笑いを堪えている彼に声をかけた。


「あぁ。わりぃ…いや、凛って本当に昔からタイミング逃さないよな」


楽しそうにそう呟く悠希は、目の前に置かれたアイスコーヒーに手を伸ばす。


…それ、絶対誉めてないでしょ


そもそも、こっちとしては一生懸命、返事をしたのにあんなに笑うことないじゃないか




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