これは絶対に恋じゃない


あの時からまだ4、5年くらいしかたってないはずなのになぜだかもっと昔の思い出のように感じた。



そのまま、公園を通り過ぎ、歩き続けること数分、家の青い屋根がチラチラ見えてくる。



そして、私の目の前には、家へと続く曲がり角。
この角を右に曲がれば、家は、もう目の前だ。



…あ、家についたらとりあえず、お風呂入って、ご飯食べて…それから、……悠希に…連絡してみようか…



なんて、家についてからのことをあれやこれやと考えながら私は曲がり角を右に進んだ。



その時だった。


…え?


私の家の前辺りで、立っている誰かの姿が目に入る。


それは、あまりに見覚えのある人物。


一瞬、見間違えかと思った。


だって、ここに“アイツ”がいるはずないんだもん。



「…っ、悠希…?」




私がポツリと、名前を呼んだ瞬間、くるりと、彼はこちらに顔を向けた。





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