これは絶対に恋じゃない



教室を出ると、昼休みということもあり、大勢の生徒が思い思いにすごしていた。



友達とキャッキャッと、楽しそうに話している数人の女子。


ふざけて、廊下ではしゃいでいる男子たち。



そんな賑やかな廊下を1人で歩く私。



歩くたびに、チャリチャリと、音をたてる鍵をポケットから取り出した。



…御池くん、教室にいるといいけど…。



昨日借りっぱなしにしていた鍵を見つめ、私はそんなことを考える。




正直、昨日は、御池くんがいてくれてよかった。


あのまま、旧校舎の廊下にひとりだったら、私…どうしてたのかな?


そう思うと、ちょっと怖くなる。


もし、御池くんが、屋上に連れ出してくれなかったらあの場所から動けずにいたかもしれない。




…お礼言わないとな










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