見えない恋 ~Dear~
第一章

想い 愛華side




私には親と呼べるものがいない。

とある雨の日のことだった。
留守番を任された小さな私は、けたたましくなる自宅の電話をとった。

涙ぐむような声。
理解が出来なかった。何故、この人は泣いているのだろうか?何故、この人は"家の電話番号"を知っているのだろうか。


翌日も雨だった。

皆黒い服を身にまとって、遠回しに私を見るのだ。お母さんは、いつ帰ってくるの?お父さんは?そう聞いても誰も顔を背けるだけでなにも言わなかった。

箱の中に横たわるお母さんとお父さん。
怪我をしていて、とてもいたそうだ。何故こんなことになっているのだろうか…

不思議だった。


それからまもなく、私は小学校四年生となった。両親はいなかった。親戚は私のことを引き取ろうとはしなかった。

だが、一人だけ私に手を差し伸べる人がいたのだ。それが、彼…雪森 優希という男だった。当時彼は中学一年生だった。
それなのに、私を引き取り、育ててくれた。

私の世界は、その時から彼だけだった。



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