俺、お前に惚れてんだけど。


そう言おうとしてみたって、真っ赤なこの顔を見ればバレバレなわけで。


あたしは不自然に視線をさまよわせて、久間君の顔を見ないようにするのに必死。



「本当のこと言えよ」



腕にギュッと力がこもる。


ドキドキして、尋常じゃないくらい顔が熱い。


ど、どうしよう……。



「志帆?」



うつむいたまま顔を上げられずにいると、今度は優しく名前を呼ぶ声が聞こえて。


や、やめてよ。


いつもみたいに強引に言ってくれれば、少しは強気で言い返せるのに。


そんなに優しく言われたら、意識しまくりで言葉が出て来ないじゃん。


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