俺、お前に惚れてんだけど。


偶然会っても話しかけて来ないと思ってたのに、真田君は見事に期待を裏切ってくれた。


それになぜか、何事もなかったかのようにヘラッとしてるし。


友達にでも会った時のような感じ。



「ひとり?何してんの?」



「散歩……」



「ヒマなんだろ?」



「もう帰るので」



そう言ったにも関わらず、真田君はなぜかあたしの隣に腰を下ろした。


な、なんなの?


あれだけ暴言吐いといて、なんでそんなに普通なわけ?


意味がわからないよ。



「俺、新島と別れたこと後悔してんだよね」



「えっ……!?」



いやいや。


今さら?


理想と違うからって、勝手にゲンメツして振ったのはそっちじゃん。


真田君のせいであたしは、ずいぶん悩まされた。


それなのに、平然とそんなことを言って来るのが信じられない。


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